ランドクルーザーは乗用車としては正常進化を遂げているのですが、この車のもともとの性格であるオフロードマシンとしては大きく退化してきています。
それを見るのに一番わかりやすいのがサスペンション、悪路を走るためにはエンジンパワーだけでなく、シャーシ性能を含めたサスペンションの良し悪しが大きく影響するのです。
オフロード走行において一番すぐれているサスペンションはリジットサスペンション。
左右が直結されていて、片側のサスペンションの動きはもう片方に影響するものなのですが、オンロードではそれが乗り心地の悪化やコーナーリング性能の低下、ロードホールディング性の悪化などを招くとして積極的に使われていないのですが、ことオフロード走行となるとその片方の影響がもう片方に出るということが大きなメリットとなっているのです。
例えば右側のタイヤが大きなギャップに乗り上げたとしましょう。
右にタイヤは大きくバンプした状態になるのですが、これが乗用車の独立懸架であると右側のトラクションは増すのですが、左側のトラクションはほとんどかかりませんので、タイヤが空転してしまうのです。
しかしリジットですと右側のバンプによって左側のタイヤを地面に押し付ける方向に力がかかるので、左側のトラクションが増すのです。
これがオフロードマシンが好んでリジットサスペンションを使う理由なのです。
ランドクルーザーは80系まではコイルスプリングを用いた前後リジットサスペンションとなっていたのですが、乗用車化するに伴って前輪だけダブルウィッシュボーンになってしまったのです。
いくら電子制御式のフルタイム4WDシステムを持っていても80系以前のランドクルーザーの悪路走破性にはかなわないでしょう。