日本がバブル景気に沸いていた頃、自動車が一家に一台あるのは当たり前という感じになっており、更にセカンドカーを持つことも特別なことではありませんでした。
そういったセカンドカーユースを埋めたのが軽自動車だったのですが、生活の足として使う軽自動車ではなく、遊びのための車として軽自動車を買うという傾向が生まれていました。
そこで各自動車メーカーがこぞって出したのが、軽スポーツモデルでした。それもオープン2シーターモデルといったものを好んで作っており、その1台がホンダのビートという車だったのです。
ビートの他にもダイハツのコペン、スズキのカプチーノというモデルがあったのですが、コペンはFF、カプチーノはFRというレイアウトを持っており、それまで技術を使って作ったり、コペンに至ってはムーヴのボディを換装しただけといったように過去のものを使って作られていました。
しかし、このビートだけは一から開発されたミッドシップレイアウトを持つ軽オープン2シータースポーツモデルとして作られていました。
完成度は非常に高く、エンジンも他社モデルがターボチャージャーを搭載して64psを発生させていたのに対して、ビートはNAエンジンで64psを発生させていました。
サスペンションも他社のようなリジットサスペンションではなく、四輪ともストラットを採用した四輪独立懸架方式を採用し、トランスミッションもマニュアルトランスミッションだけの設定といった、おもちゃとしてかなり贅沢なものに仕上げられていました。
後継モデルとして現在S660が発売されていますが、そういった中でも中古車市場では人気が高く、20年以上前の軽自動車とは思えないような金額で売られています。